【2】不妊治療にはステップがある 治療の流れと私の体験談 ~タイミング方から人工受精まで~

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不妊治療を始めようとしている方は、「これからどんな治療が待っているんだろう」と不安な気持ちでいっぱいではないでしょうか。不妊治療には、タイミング法から体外受精まで、いくつかの段階があります。それぞれの治療ステップには特徴があり、その時どきで医師と相談しながら最適な方法を選んでいくことが大切です。私も5年間の不妊治療を経験してきました。

この記事では、不妊治療の基本的な流れを紹介するとともに、実際に私が体験した治療の様子もお伝えしていきます。

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不妊治療のステップを簡単に解説!

不妊治療には、段階的なステップがありますが、みなさんが全く同じ段階からスタートするわけではありません。それぞれのカップルの状況に応じて医師と相談しながら、適切なステップで進めていくことになります。

以下の表は一般的な不妊治療の流れを簡素に示したものです。

ステップ治療内容
ステップゼロ:検査不妊の原因を調べる検査
ステップ1:タイミング法排卵のタイミングを見極め自然妊娠を目指す
ステップ2:排卵誘発剤を使用排卵を促進する治療
ステップ3:人工授精(AIH)精子を子宮内に直接注入
ステップ4:体外受精(IVF)卵子と精子を体外で受精
ステップ5:顕微授精(ICSI)顕微鏡で精子を卵子に直接注入

以下では、各ステップについてもう少し詳しく見ていきましょう。今回は、不妊検査、タイミング法、排卵誘発剤、人工授精(AIH)までについて見ていきます。

【ステップゼロ】まずは検査から始めよう!

不妊治療を始めるにあたり、最初のステップとなるのが「検査」です。不妊の原因を明らかにすることで、その後の治療方針を適切に決めることができます。

不妊治療に必要な検査の種類と目的とは?

不妊の原因はさまざまで、女性側・男性側のどちらにも可能性があるため、両方の検査が必要になってきます。以下は治療前の一般的な検査の内容です。

女性の検査男性の検査
超音波検査:卵巣や子宮の状態確認精液検査:精子の数や運動性を確認
ホルモン検査:ホルモンバランスを確認 
卵管通水検査:卵管の通過性を見る検査 
卵管造影検査:卵管の通りを調べる 

これらの検査は一般的なものであって、医療機関や、個人によっては別の検査を受けることもあります。

検査結果によって治療の方針が決まる!

検査の結果によって、治療の方向性が決まります。例えば、排卵に問題があれば排卵誘発剤を使用する治療を進めることが一般的です。原因がはっきりすれば、適切なステップに進むことができ、不安も軽減されますね。

検査は男性に比べて女性のほうが種類も多く、中には痛みを伴うものもあります。そのため、治療を始めた早い段階から、パートナーの男性には女性の気持ちに寄り添い、理解を示してほしいと願います。

【ステップ1】自然妊娠を目指せるタイミング法

不妊治療の最初のステップとして提案されることが多いタイミング法は、自然妊娠を目指すための基本的な治療です。

排卵周期を基本とした治療のファーストステップ

タイミング法は、不妊治療の中でも最もシンプルな方法です。基礎体温や排卵検査薬などを用いて、排卵日を予測し、そのタイミングに合わせて夫婦生活を持つようにします。

医師の指導を受けながら進めることで、より正確に排卵日を把握することができるので、妊娠の可能性を高めることができます。

タイミング法で妊娠する確率はどのくらい?

タイミング法の成功率は不妊症でない方で、1回につき20〜30%程度とされています。

これまでにきちんとタイミングをとって夫婦生活を持ってきてなかった方や、年齢が若いかたであれば、最低でも3周期、可能であれば5~6周期くらいはタイミング法を続けてやってみるのが良いでしょう。正しいタイミングや健康的な生活習慣が成功率を上げる重要なポイントとなります。

【ステップ2】排卵誘発剤を使った治療

排卵誘発剤を使用する治療は、自然な排卵が起こりにくい方や、より確実に排卵のタイミングを把握したい方に行われる治療法です。比較的、不妊治療のはじめの方から使用されることが多い方法です。

排卵誘発剤の種類と選び方

排卵誘発剤は、排卵を助ける薬です。主に飲み薬と注射薬の2種類があります。飲み薬の代表は「クロミフェン(クロミッド)」という薬で、脳に働きかけて卵巣を刺激し、排卵を促します。一方、注射薬の「hMG」は、卵巣に直接作用して複数の卵胞を成長させます。

どちらを使うかは、年齢やホルモンの状態、過去の治療歴によって決まります。例えば、軽度の排卵障害には飲み薬が、より強い効果が必要な場合には注射薬が選ばれることが多いです。どの薬も医師の指導のもとで使用します。体に合った薬を選ぶことで、妊娠の可能性を高めることができます。

使用中の副作用とその対策

排卵誘発剤には、いくつかの副作用があることがわかっています。よく使われる飲み薬の「クロミフェン(クロミッド)」は、副作用として頭痛やめまい、ほてりを感じることがあります。また、使用を続けると一部の人で子宮内膜が薄くなり、受精卵が着床しにくくなることもあります。一方、注射薬である「hMG」や「hCG」では、卵巣が腫れる「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」が起こる可能性があります。この症状では、腹部の膨張感や痛みを感じることがあり、重症の場合は医師の治療が必要になってきます。

【ステップ3】人工授精(AIH)

タイミング法、排卵誘発剤の次に選択されるのが、人工授精(通称AIH)という治療法です。人工授精には排卵誘発剤が併用されることもあります。

人工授精とは?その流れと必要な準備

人工授精(AIH)とは、採取した精子を子宮内に直接注入する方法で、これにより、精子が卵子に到達する確率を高めます。実際には以下のような手順で行われます。

手順1:排卵日を確認する
女性の排卵日を特定するため、基礎体温を確認し、超音波検査を行います。医師が排卵のタイミングを詳しく確認し、最適な治療日を決定します。

手順2:精子を採取する
治療当日、男性は専用の採取容器に精子を採取します。精子は専門機器で洗浄・濃縮され、質の高い精子だけが選別されます。この処理によって、妊娠の可能性が高まるのです。

手順3:精子を子宮内に注入する
女性は診察台に横になり、カテーテル(細い管)を使って精子を子宮内に注入します。この施術は数分で終わり、痛みもほとんど感じません。

手順4:妊娠の判定を待つ
注入後は通常通り過ごし、2週間ほどで妊娠検査を行います。妊娠が確認できなかった場合は、次の周期で同じ治療を検討します。

人工授精での妊娠成功率はどのくらい?費用は?

人工授精の成功率は1回あたり5〜15%程度で、成功率には以下の要因が関係してきます。

  • 年齢:年齢が上がるにつれて成功率は低下する
  • 精液の状態:精子の質や量によって成功率が変わる
  • 子宮の状態:子宮の状態も成功率に影響を与える

費用は1回あたり2〜3万円程度(検査等含む)が一般的です。多くの医療機関では、3〜4回ほど試みて、結果が出ない場合には、次のステップを進められることが多いようです。

※参考動画:【不妊治療】人工授精

タイミング法から人工授精まで!私の体験談

不妊治療には段階があり、それぞれの状態に応じた治療法が選ばれます。私の場合、不妊検査で特に問題は見つかりませんでしたが、1年以上妊娠できていない事実があったため、タイミング法から治療を始めることになりました。

タイミング法を始めてすぐ、2回目で妊娠が判明。「こんなに早く妊娠できるなら、もっと早く病院に来ればよかった」と思いましたが、喜びも束の間、この妊娠は子宮外妊娠で終わってしまいました。 

初めての妊娠が子宮外妊娠だったことで、心身共に大きなダメージを受け、立ち直るまでに2年の月日を要してしまいました。それでも、やはり子どもが欲しいという気持ちは強く、治療を再開することに。再スタートは人工授精からのチャレンジでした。人工授精は自然妊娠に近い治療法であったため、「これで成功させたい」という気持ちが強かったのをおぼえています。そのため、通常4〜5回で次のステップに進むのが一般的なところ、私は8回も挑戦を重ねたのです。 

人工授精の成功にこだわったのは、自然妊娠を望む気持ちが強かったことと、次のステップから必要になる高額な治療費への不安があったからです。

しかし、回数を重ねても結果はすべて陰性、時間ばかりが経過することに焦りを感じ、パートナーとしっかり話し合ったうえで次のステップに進むことを決断したのです。 

人工授精までの治療は、経済的にも身体的にも比較的負担が軽い方でしたが、結果が出ない焦りや苛立ちは避けられません。また、治療中には聞き慣れない薬や用語が出てくることも多く、それらに戸惑うことも多くありました。

治療を進める中で私が最も大切だと感じたのは、自分なりに治療を理解し、納得して進めるということ。医師に言われるまま薬を服用する、治療を受けるのではなく、どんな効果があるのか、なぜ必要なのかを確認し、自分で納得することが重要だと感じました。 

例えば、排卵誘発剤について、排卵に問題がないのになぜ使うのか疑問に感じましたが、「確実に排卵を促すため」という理由を聞き、納得しました。疑問が生じたときは、医師や看護師にしっかりと確認することが大切だと感じました。

不妊治療では、思うような結果が得られないことも少なくありません。後悔を減らすためにも、自分が受ける治療の内容をしっかりと理解し、納得したうえで進めていってほしいと思います。

→ 「【3】不妊治療にはステップがある 治療の流れと私の体験談」に続きます

(執筆者:yuffy)