給排水工事・衛生工事 ─水回りの仕組みについて知っておこう─

L. 給排水工事・衛生工事
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「水を出して使う(上水道)」と「使った水を排水する(下水道)」はセット

「水回り」は生活の源ですので、その仕組みがどうなっているのかは知っておいて損はないと思います。1日の中で「水を出して使う(上水道)」と「使った水を排水する(下水道)」はセットですので、どちらかで「漏水」などのトラブルが起こっただけで、日常生活に大きな影響が出てしまいます。
給排水工事・衛生工事とは、建物の内部に飲料、洗面などに用いる上水の配管、不要な水を排出するための下水配管を設置し、それらを含む衛生器具などの装置、および通気設備等を設ける工事全般のことを指します。

まず、概念図について説明します。

「給排水工事・衛生工事」の概要

「給排水工事・衛生工事」の概要は以下の通りです。

<給水設備工事>
・給水方式の選択
・水栓の選択
・配管の選択
<排水設備工事>
・汚水、雑排水
・雨水排水トラップ
・通気管
・排水ます、浸透ます、浄化槽
<衛生器具設備工事>
・便器の設置
・洗面器具の設置

給水・給湯には様々な方式がありますが、現在はさや管ヘッダー方式が主流です。
さや管ヘッダー工法とは、給水用と給湯用にそれぞれヘッダーという筒状の管を設け、ピンク色の「さや管」からは給湯をし、青色の「さや管」からは給水をするという給水方式です。
さや管は、折り曲げることができる樹脂製の管で、管の内部に合成樹脂製のパイプを通します。この方式は、水量が一定である、漏水のトラブルが少ない、配管の更新が容易であるというメリットがあります。

工事の手順は以下の通りです。

(基礎工事:配筋工事の途中)
●配管・貫通スリーブの設置
(基礎工事:型枠の撤去あと)
●排水ます・排水管の設置
(木工事:軸組・床組み工事)
●ヘッダー配管(給湯・給水)・水圧テスト
(内装仕上げの途中)
●内部・器具取付け(衛生設備・水栓)
●外部・器具取付け(給湯器取付け)
●外部・その他工事(水栓・メーター・配管接続)
●水圧テスト・試運転・検査・申請

上水道・下水道の仕組み

■<上水道>の仕組み

 給水管には細かい加工が必要な部分があり、柔らかく加工しやすい鉛が、平成3年まで水道用器材として承認され、全国的に使われていました。そのため、平成3年以前に建てられた家屋には、鉛給水管が使われている可能性があります。「配水管の分岐から宅地内メータまで」が、鉛製の給水管になっているケースとなります。
 平成4年12月に厚生省(現厚生労働省)は、生涯にわたる連続的な摂取をしても人の健康に影響が生じない水準を基として安全性を十分考慮し、鉛濃度の水質基準を1リットル当たり0.1mg以下から、0.05mg以下に改訂しました。

 鉛は一定の量を超えると人体に影響があるとされていますが、鉛管を使用している家庭の水道水は心配ないのでしょうか。
 東京都の水道局では、安全でおいしい水をお届けするため、都内の給水栓で定期的に水質検査を行っていますが、この結果、厚生労働省で定めている水質基準に適合しています。しかし、鉛製の給水管を使用している場合は、長時間水道水を滞留させた場合、水質基準を超える鉛が溶け出すことがあるようです。
 このため、「朝一番の水を使うとき」や「旅行等で長時間使用しなかった」場合には、念のためバケツ一杯程度の最初の水は飲用以外の用途に使用することをお勧めします。また、使用されている鉛製の給水管を取替えていただくことが、根本的な解決策となります。
 なお、配水管の分岐から宅地内メータまでの鉛製の給水管については、漏水防止や水質劣化防止などの目的から、水道局で順次取替え工事を行い、平成18年度までにおおむね取替が完了したと発表しています。

■<下水道>の仕組み

 「汚水桝」や「雨水桝」など排水管の合流地点にある排水桝の仕組みは、「ゴミ・泥を沈殿させ、水と分離させる」というものです。そのため桝の中には、キッチンから流れた食べカスや、油分、そのほかホコリや泥などが蓄積されていきます。
 そして基本的に自宅の敷地内にある排水管は、自分で管理しなくてはなりません。

水道料金の算出方法はどうなっているのか?

■<水道料金>の算出方法

 東京都の平成27年度一般家庭水使用目的別実態調査によると、風呂が40%と最も多く、以下、トイレ21%、炊事が18%、洗濯が15%、洗面・その他で6%の順となっています。
 東京都によれば、シャワーを3分間流しっぱなしにすると約36Lになるそうです。食器洗いの場合は5分間流しっぱなしで約60L、洗面・手洗いは1分間流しっぱなしで約12Lになります。

●上水道料金
 上水道料金は基本料金と従量料金で計算されますが、自治体によって料金が異なります。
 ここでは東京23区の例で計算方法を見てみましょう。

 水道料金の1カ月の基本料金は、水道メーターの口径で金額が決まっています。
一般家庭の場合の口径はおおむね13㎜か20㎜です。13㎜の場合は860円、20㎜は1,170円です。
口径が大きくなればなるほど基本料金が高くなります(下表「上水道基本料金」参照)。

 従量料金は、1立方メートル当たりの単価が決まっていますが、メーターの口径が大きいほど、
また使用量が増えるほど、単価が上がります。
 たとえば、メーターの口径が13㎜~25㎜の場合、1カ月の使用量が1~5立方メートルは0円、
1~10立方メートルは1立方メートルにつき22円、11~20立方メートルは1立方メートルにつき128円、21~30立方メートルは1立方メートルにつき163円などとなっています(下表「上水道従量料金」参照)。
 これは、使用量が30立方メートルの場合、使った水すべてが単価163円で計算されるのではなく、
6から10立方メートルまでの分は単価22円で、それを上回る20立方メートルまでが単価128円で、
21から31立方メートルまでが単価163円でそれぞれ計算され
る。その合計金額が従量料金になります。
 たとえば、水道メーター口径が20㎜で、水を1カ月に30立方メートル使用した家庭の場合、
従量料金の計算は次のようになります。

・5立方メートルまで:無料
・10立方メートルまで:5立方メートル×22円=110円
・20立方メートルまで:10立方メートル×128円=1,280円
・30立方メートルまで:10立方メートル×163円=1,630円
合計3,020円

●下水道使用料金
 下水道使用料金は、基本料金と超過料金によって計算されます。下水の使用量は上水道の使用水量を汚水排出量とみなして計算されます。
 東京23区の場合、0~8立方メートルまでは一律560円で、9立方メートル以上排水すると、区分ごとの単価で計算されます。たとえば9~20立方メートルは1立方メートルにつき110円、21~30立方メートルは1立方メートルにつき140円などとなっています(下表の下水道料金参照)。

したがって、使用水量が30立方メートルの1カ月の下水道料金の計算は、次のようになります。
・8立方メートルまで:560円
・20立方メートルまで:12立方メートル×110円=1,320円
・30立方メートルまで:10立方メートル×140円=1,400円
合計3,280円

●管工事(かん こうじ)とは
 管工事(かん こうじ)とは、冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、
又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事、を業とする建設業。



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