断熱工事・気密工事 ─断熱と気密はセットで考える─

D. 断熱工事・気密工事
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「断熱」とは、夏に外の熱気を取り込まない、冬に外の冷気を取り込まないこと。「気密」というのは「すき間がない」ということ。

 まず「熱と空気」、「断熱と気密と換気」について説明しておきます。
 「断熱」というのは、夏に外の熱気を取り込まない、冬に外の冷気を取り込まないという意味です。
 「気密」というのは「すき間がない」ということ。「C値が1」というのは、「1平方メートルあたり1平方センチメートルしかすき間がない」「0.5だと」「1平方メートルあたり0.5平方センチメートルしかすき間がない」ということです。すき間がないと、確かに熱は逃げません。ただ、そういう部屋に人が籠っていると、二酸化炭素濃度が高くなってしまって、眠くなってしまうんですね。
 じゃあ、「換気」だという話になるんですが、「3種換気」で冬に「外気温0度」の空気を入れると、せっかくあたためた空気が冷気で冷たくなってしょうがない、という話になります。
 ただ、熱交換率80%の「1種換気」だったら、「室温20度の空気」を排出しても「熱交換で16度の空気」が入ってきますから、冷気の影響は低くなります。「室温20℃で外気が0℃」だと、20℃の気温差があるわけですから、その中で「室温と湿度」を維持するのはけっこう大変なことだと思います。
 最新のテクノロジーでは、「1種換気」で「フィルターの汚れを取る」メンテナンスを定期的に行うということになるかと思います。

<換気の種類>
1種が「給気も排気も機械で行うもの」
3種が「排気のみ機械で、給気は自然口から行うもの」を指しています。

●1種(ダクトレス全熱交換型)
●1種(ダクトあり全熱交換型)
●3種(機械排気のみ)

 コストはこんな感じですが、
 このサイトの計算では、単に「エアコンを部屋の数だけ入れただけ」です。換気システムについては、「三菱電機のロスナイ」や「パナソニックの24時間換気システム」や「ヴェントサンのダクトレス全熱交換型」など色々ありますが、部屋に3つも4つもエアコンを入れるのであれば、上記の「1種換気システム」を導入したほうが安いのではないかと思います。

「断熱性能」とは

 写真は壁に「現場発泡の硬質ウレタンフォーム」を施工している写真です。
 「硬質ウレタンフォーム」は、「ポリイソシアネート」と「ポリオール」を発泡剤とともに
吹き付けることで施工できる断熱材です。
 断熱材には、「現場で発砲するもの」「最初から板状・ボード状に加工されたもの」
「グラスウールなど袋状のものに入ったもの」など、いくつかの形態があります。
 断熱材は、施工技術により「かなり差が出やすい」と言われています。

 断熱性は「Ua値(ユーエーチ)」というもので測ります。
 外と室内の気温差があったときに、これは「1㎡あたり何wの熱が逃げるか」という
「熱損失量」のことです。
単純に言うと、熱が伝導しにくい「窓(開口部)」「壁(外壁)」「天井(屋根)」「床(基礎)」
にすれば、「Ua値(ユーエーチ)」は低くなります。
これは現場で測定するのではなく、「サッシの種類」「ガラスの種類」「断熱材の種類や厚み」
「断熱材の施工方法」によって、設計の時点で計算できるものになります。
なので、「床・壁・天井」の断熱材はネオマフォームや硬質ウレタンフォーム、
サッシはアルミ樹脂・トリプルガラス(Low-E ガラス使用)にすれば、断熱性能はかなり高く
なります。
このサイトでは、「地域4」で「Ua値が0.5くらい」になるような断熱材・サッシを選択して
います。ちなみに、地域4とは、関東よりも少し寒い地域になります。

 現在の省エネルギー区分は、北海道を1、沖縄を8として、全国を「8地域」に分けています。
Youtube動画などでは、単純に「都道府県名」だけを表示していることがありますが、
「仕様書」ではもっと厳密に分類されており、たとえば「山梨県」でも「忍野村」はかなり寒い「地域2」になっていますし、東京でも「八丈町や小笠原村」は暖かいほうの「地域7」となっています。

断熱工事の手順

 断熱工事の日数は、建物の規模や形状、使用する断熱材の種類によって異なりますが、一般的には2週間から1か月程度の工期が必要となります。

【断熱工事】の手順
1.(床用)押出法ポリスチレンフォーム
2.(壁用)硬質ウレタン、グラスウール、フェノールフォームなど
3.(天井・屋根)高性能グラスウール16Kなど
4.(基礎:内外用)硬質ウレタン、グラスウールなど
5.(外断熱用)グラスウール24K、フェノールフォームなど

まず「断熱材」の基本ですが、性能を測る数値として「熱伝導率」というものがあります。
熱伝導率は、「1平方メートルあたり、1メートルの厚さで、何ワットの熱が伝導するか」という値になります。

【熱伝導率(W/㎡・K)】の簡単な数字説明
「グラスウール:0.038」
「セルロースファイバー:0.04」
>「ポリスチレンフォーム:0.024」
>「硬質ウレタンフォーム:0.023」
>「フェノールフォーム:0.019」などがあります。
価格はグラスウールがもっとも安く、フェノールフォームが最も単価の高い断熱材です。

断熱性能が低くても、断熱材の厚みを2倍にすれば効果は2倍になります。
「グラスウール100mmとネオマフォームの50mmがほぼ同じ性能になる」といった感じです。
柱と柱の間に入れることを、「充填断熱」と言いますが、柱の厚さがほとんど105ミリですので、
充填できる断熱材の最大の厚さが105ミリということになります。
ただし、天井はその制限がありませんので、グラスウールでも150ミリとか200ミリとかの断熱材も
入れられます。
で、断熱材なんですが、いろいろ派閥がありまして、
技術力・施工力に自信がある会社では「グラスウール」で良いと言っている会社もあります。
「グラスウール」は施工力に、かなり差が出る断熱材ではないかと思います。
「ネオマフォーム」は高いですが、安定して高い性能を発揮します。

<材料および工具>

断熱材の種類には、グラスウール、ロックウール、ポリウレタンフォーム、セルロースファイバーなどがあります。施工で使用する道具には、断熱材を切ったり貼ったりするための切断器具、接着剤、留め具などがあります。施工には専門の技術が必要であるため、一般的には施工業者に依頼することが一般的です。

「気密性能」とは

次に「気密」ですが、「C値(シーチ)」という尺度で測ります。
これは、北海道でも九州でも同じ基準で、1㎡あたり「すき間の面積がどれくらいあるか」を
見ます。
たとえば、例えば「C値1.0㎠/㎡」だと、1平方メートルあたり「1センチ角」のすき間がある
ということになります。
「C値0.5㎠/㎡」だと、1平方メートルあたり「0.7センチ角」のすき間があるということになります。
「C値」は低いに越したことはありませんが、緻密で厳格な現場施工が求められます。
「すき間がない」ということは、いわゆる密閉された状態ですので、断熱効果が高くなるのは
言うまでもありません。
本サイトでは、「C値0.5㎠/㎡」を目指せる基準を設定していますが、
これは「技術力と施工方法」により、差が出ますので、住宅メーカーに確認してみてください。

気密工事の手順

気密工事とは「家のすき間を少なくする」ために「防湿気密シート」や「気密テープ」で
ふさぐ作業のことで、非常に細かい施工が求められます。
断熱性能を示す「Ua値」が設計時の計算で求められるのに対し、
気密性能を表す「C値」は、現場で実際に「気密を測定」します。
「1平方メートルあたりのすき間が、何平方センチメートルあるか」割り出します。
つまり、写真にある「気密の測定器」です。
思ったような数値が出ない場合は、すき間が大きな箇所を探して、「気密テープ」などで
補修をしなくてはなりません。
技術力と豊富な施工経験が求められます。

【気密工事】の手順
1.気密シーリングテープ(材工共)
2.硬質ウレタンスプレー
3.土台気密パッキン
4.気密測定



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