基礎工事 ─1923年(関東大震災)・1995年(阪神・淡路大震災)で基礎はどう変わったか─

B. 基礎工事
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「布基礎(ぬのきそ)」と「ベタ基礎(べたきそ)」の変遷

そして「基礎工事」に入ります。
基礎工事は「コンクリート工事」「型枠工事」「鉄筋工事」が主体となります。
基礎には「布基礎(ぬのきそ)」と「ベタ基礎(べたきそ)」がありますが、近年は9割が「ベタ基礎」です。
住宅金融支援機構のデータによれば、2000年以前、特に1995年の「阪神淡路大震災」より前は「布基礎」が7割以上と主流でした。しかし、2000年の「構造強度に関する基準の見直し」が徐々に浸透しだしてからは、「ベタ基礎」が優位となり、2011年の東日本大震災以後は9割超が「ベタ基礎」です。

次にコンクリートですが、コンクリートは鉄筋との相性が非常に良いため、この二つが組み合わされることによって、非常に強力な基盤になるということが知られています。
コンクリートは、「セメント、砂、砂利、水」を混ぜ合わせたものですが、混ぜた直後はドロドロとしています。よく料理をする方から見ると、「小麦粉と水を混ぜてお好み焼きを作るようなもの」に見えるかもしれません。
しかし、それと決定的に違うのは「セメントと砂と砂利と水」を混ぜたあとに起こるのは「水和反応」と呼ばれる「化学反応」だということです。「セメントと水」が空気に触れることによって、徐々に固まっていくんですね。

基礎の中には、縦方向と横方向にD13もしくはD10(Dは直径の意味で、直径13ミリです)鉄筋が
組まれています。これとコンクリートの組み合わせで基礎が固まります。
気温が5℃以上だと、数日でコチコチに固まります。

基礎の型枠内には、アンカーボルトを埋め込みます。これは基礎が硬化したあとに先端が突き出た感じになっており、2階建ては2.7メートル以内の間隔で、3階建ては2メートル以内の間隔で埋め込まれます。
アンカーボルトは、建物が風圧や地震の揺れによって基礎から外れたり、下からの風圧で持ち上げられたりしないように、土台と基礎を緊結する重要な役割を果たします。また、通し柱と緊結するために、ホールダウン金物を使い、土台とボルトを固定します。

基礎工事の手順

新築住宅の基礎工事は、以下のような手順で進められます。

<工事期間>
約1か月(※敷地面積100平方メートル未満の場合)

<工事の手順>
●地盤調査と計画
まず、建物を建てる敷地の地盤調査を行い、その結果をもとに基礎の設計を行います。設計には建物の重量や地盤の強度を考慮して、適切な基礎の形状や深さ、材質などを決定します。

●土地の整地
建設予定地を適切な高さまで盛り上げ、不要な土砂や草木などを除去します。これには、ダンプカー、ショベルカー、ブルドーザーなどの重機が使用されます。

●基礎の掘削
建物の基礎を支えるために、掘削を行います。掘削には、エクスカベーターやバックホーなどの重機が使用されます。基礎の形状や深さに応じて、掘削の深さや広さを決定します。

●基礎の枠組み作り
基礎の形状に合わせて、鉄筋や型枠を組み立てます。鉄筋は、基礎に強度を与えるために使用されます。型枠は、コンクリートを流し込む際に形状を保持するために使用されます。

●コンクリートの流し込み
基礎の枠組みに、トラックから流し込まれたコンクリートを流し込みます。コンクリートを均等に流し込むために、ベルトコンベアやポンプ車などの機械が使用されます。

●コンクリートの乾燥と硬化
コンクリートが流し込まれたら、乾燥と硬化が進みます。これには、数週間から数カ月かかる場合があります。この期間中は、コンクリートの表面を乾燥から保護するために、防水シートを敷いたり、水をかけたりすることがあります。

以上が、基礎工事の主要な手順です。基礎工事の期間は、敷地の状況や建物の大きさによって異なりますが、約1か月から3か月程度が一般的です。

<機械または道具>

●エクスカベーター:基礎の掘削や土地の整地などに使用される大型の重機です。
●バックホー:エクスカベーターの一種で、小型の重機です。基礎の掘削や土地の整地などに使用されます。
●レーザー墨出し器:基礎の位置を正確に決定するために使用される道具で、レーザー光線を照射して目印をつけます。
●レベル:地盤を水平に整えるために使用される道具で、建物が傾いたりしないようにします。
●鉄筋カッター:鉄筋を必要な長さにカットするために使用されます。
●型枠:コンクリートを流し込む際に形状を保持するために使用される道具で、木材や鉄板などで作られています。
●コンクリートミキサー車:コンクリートを混ぜ合わせるために使用される車両です。建設現場で現場で混ぜることもありますが、大規模な工事ではミキサー車が使用されます。
●ポンプ車:コンクリートを高所や遠くの場所に流し込むために使用される車両です。
●シャベル:建設現場で使用される小型の手動のスコップで、細かな作業に使用されます。
●バール:基礎工事の際に不要な岩石や石ころを除去するために使用されます。

以上が、基礎工事で使用される主な道具です。

(ベタ基礎の場合)
1.水盛り・遣り方・墨出し
2.根切り・掘削
3.砕石
4.捨てコンクリート
5.鉄筋・型枠工事
6.アンカーボルトの据え付け
7.先行配管(給排水・電気)
8.コンクリート打設(底盤部分・立ち上がり部分)
9.養生・型枠外し

コストの算出とチェックポイント

この基礎工事も、専門的なものであるため、工務店(ハウスメーカー)が自社で直接やることはほとんどありません。ほとんどが外だし(外注)となります。
見た目には影響がないため、手を抜かれても気が付かないリスクがあり、注意が必要です。
工事の内容は「地盤と耐震」に大きな影響を与えますので、「第三者機関によるチェックはありますか?」ぐらいは聞いてみてもよいと思います。
よくありがちなことは、「ベタ基礎」を「布基礎」に変えて、コストを減らそうとしたり、ベタ基礎でも「鉄筋と鉄筋のピッチを広げる」ことで鉄筋の量を減らそうしたり、施主の知らないところで「建築原価を下げよう」という試みです。

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