地盤調査・改良・造成・仮設工事 ─価格差が大きいのはなぜか?─

A. 地盤調査・仮設工事
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土地の状況によってコストに大きな違いがある

 「地盤調査」(と必要とされる場合の)地盤改良・宅地造成、続けて「仮設工事」について説明します。古家や障害物がある場合は撤去しなくてはなりませんし、地盤調査をします。(状況によっては)杭・地業工事、地盤改良工事、宅地造成が必要になる場合もあります。
 仮設工事とは、建物を建てるために、足場、仮設電気、仮設トイレなど一時的に設置する工事のことをいいます。

 これは「耐震」にも深く関わってきますが、「地盤の強さ」そのものに疑念がある場合は、十分な対策が必要です。「耐震等級2や3」を実現するためには、「地盤の強さ」が前提になってくるからです。土地の以前の状態がどうなっていたかご存じですか。近くに「沼地」や「河川」ある土地、山の斜面に家を建てる場合は留意してください。

 日本は国土の6割以上が森林で、起伏の多い土地が多いので、家を建てようとしている土地が「そもそも水平か?」という問題があるかもしれません。見た目には「水平に見えても」、実際はそうではないこともあります。

 家づくりの最初の工程に、「水盛り・やり方」「墨だし」というものがあります。
 なぜ「水」が出てくるの?と思った方がいるかもしれませんので、「水で水平を図る」方法を簡単にご説明します。家を建てようとしている土地があるとして、そこに「大きな四角形のプール」があると仮定します。するとプールの角の4角(すみ)は同じ高さになっているはずですので、その高さが「水平になる」というものです。これが簡単な考え方です。
 ただし、実際に「プールを作る」わけにはいきませんので、大き目のペットボトルとホースで簡易的に同じ条件を作り出すことができます。ペットボトルの水を入れた状態で、ホースにつなぎ、ペットボトルを逆さにして水を流し、ホースの先端を上向きにして水がこぼれないようにします。すると(ホース中に空気が入っていなければ)ホースの先端の水の高さと、逆さにしたペットボトルの水の高さが同じになっているはずです。もちろん、現代では「レーザーを使った水平器」がありますので、ペットボトルもホースも使いません。
 「土地が水平であるとは限らない」ということで、「水平を図る」簡単な考え方をご紹介しました。建築の現場では、「水平」とか「垂直」は非常に重要です。昔は辺の長さが3m、4m、5mの木製の直角三角形を作り(これを大矩(おおがね)と言いますが)、これで直角を出していたようです。

 次に「足場(あしば)」について説明します。足場とは、建物の外周に設置し、安全に作業をするための作業床のことです。労働安全衛生規則では、事業主は2m以上の高所で作業をする場合、足場(作業床)を設けなければなりません。足場には「くさび緊結式足場」「単管足場」「枠組足場」などの種類があります。
 足場は外壁面から1m離した「奥行×高さ」+「幅×高さ」それぞれ2面分の面積(㎡)を基準とし、それに単価(1000円~1200円)をかけた金額が「1カ月分」の利用料となります。足場は通常、「屋根工事」や「外壁工事」が終わるまでは設置しますので、だいたい数カ月間の利用となります。

 「養生費」とありますが、これは工事期間中の「床・壁・柱・造作材」等の損傷防止のためのシートやビニール費用となります。

 あと、ここには記載がありませんが、通行人などの安全を確保するために「仮囲い」が必要になるケースもあります。この場合は、「仮囲いの長さ(m)×単価」の設置費用がかかります。
 水道工事等で、歩行者を誘導するための警備員が必要な場合は、「警備員の手配費用×人数×日数」がかかります。
 「廃材処分費」とは、木材やボードの残材、梱包材、ゴミなどの処分費用です。

 次に「土工事(どこうじ)」「地業工事(じぎょうこうじ)」ですが、土工事とは、根切り(掘削)、排水、埋め戻し、盛土、床付けなど、地盤に関わる工事のことです。続く地業工事とは、基礎より下の地盤に割石等を敷き強化する工事のことです。値切り(掘削)のあと、地盤を固めるために割石や目潰し砂利などを敷き、ランマ―等で突き固めます。また、地盤が軟弱な場合は「杭」を打ちますので、これを杭地業(くいじぎょう)と言います。

工事の手順

このパートについての工事の手順をまとめます。

(古家や障害物がある場合)
1.古家・障害物を撤去するための準備(仮囲いなど)
2.機械のレンタル・手配
3.撤去作業(日数×人件費)
4.廃棄物の処理・運搬
5.造成・清掃
(地盤調査)
6.サウンディング試験など
7.地業工事のプラン策定
8.機械・機器のレンタル・手配
9.地盤補強(表層改良・柱状改良・鋼管杭)の実施
10.廃棄物の処理・運搬
11.造成・清掃
(仮設工事)
13.足場セッティング(養生ネット含む)
14.仮囲い
15.仮設電気工事
16.仮設水道工事
17.仮設トイレ
18.養生費
19.掃除・後片付け・美装費
20.廃材処分費

コストの算出とチェックポイント

 この「地盤調査・改良・造成・仮設工事」は、専門的なものであるため、工務店(ハウスメーカー)が自社で直接やることはほとんどありません。ほとんどが外だし(外注)であるため、規模が大きくなると、多重下請け構造になりがちです。
 専門的な内容であると言っても、経験とノウハウがある人だけが現場にいるわけではありません。現場監督者がしっかりしていれば、未経験や経験が浅い人が多い現場もあります。
 コスト構造は「機械の使用料+現場の技術者×所要日数+現場管理費+一般管理費」です。プロジェクト責任者のコスト認識が甘いと、間に入る仲介者を増やしてしまいます。

 見積もり計算では、初期設定で「仮設工事」のみ算出しています。
 「古家の解体・撤去」や「地盤調査」については、オプションのところで、「係数(基準数量に対する掛け率)」を入力することで、見積もりに追加します。
 基準数量に「延べ床面積」が設定されている場合は、単に「1」と入力すれば、延べ床面積に応じた見積もりコストが算出されます。

「基準数量」については、以下の通りとなります。

●旧建物解体工事(木造)     →「延べ床面積」(単価:20,000円)
●旧建物解体工事(鉄骨鉄筋)   →「延べ床面積」(単価:25,000円)
●地盤調査費           →「建築面積」(単価:700円)
●サウンディング試験(SWS試験)  →「建築面積」(単価:1,300円)
●仮囲い(フェンス・ゲートなど)  →「延べ床面積」(単価:400円)
●安全対策費            →「人数×日数(8時間換算)」(単価:12,000円 ※普通作業員の場合)
                   ※4人で2日かかる場合は「8」と入力してください
●地盤補強(表層改良)       →「建築面積」(単価:7,000円)
●地盤補強(柱状改良)       →「建築面積」(単価:9,500円)
●地盤補強(鋼管杭)        →「建築面積」(単価:15,000円)


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