(更新日:2025年3月30日)
「家を建てたい」と思ったとき、まず気になるのは土地選びですよね。実は、土地には「市街化区域」「市街化調整区域」「都市計画区域」といった種類があり、どこに家を建てるかでルールや条件が大きく変わることをご存じでしょうか?
例えば…、
- 「この土地に家を建てられるの?」
- 「市街化調整区域って安いけど、問題ないの?」
- 「自分に合ったエリアはどこ?」
といった疑問を感じたことはありませんか?
この記事では、それぞれの区域の違いをわかりやすく解説し、どんな家が建てられるのか、区域ごとのメリット・デメリットを詳しくご紹介します。
この記事を読むことで、土地の選び方が明確になり、理想の家づくりに向けた第一歩のお手伝いができると幸いです。
都市計画区域とは?まずは大きな枠組みを理解しよう

家を建てるための土地は、大きく「都市計画区域」と「都市計画区域外」に分かれます。そのなかでも都市計画区域では、建物の種類や用途にさまざまな規制が設けられているため、家を建てる前にその詳細をしっかりと把握しておくことが大切です。ここでは、まず「都市計画区域」とは何かを詳しく見ていきましょう。
◎ 都市計画区域とは?
都市計画区域とは簡単に言うと、「街を計画的に整備するために決められたエリア」です。無秩序に家やビルが建ち並ぶのを防ぎ、住みやすい街をつくるために法律で定められていいる区域です。
そして都市計画区域には、さらに以下の3つのエリアがあります。
A. 市街化区域
市街化区域は、住宅や商業施設が集まり、都市としての機能が充実したエリアです。
- すでに住宅や商業施設が立ち並び、市街地として整備されているエリア
- 今後10年以内に市街化を進める予定がある
- インフラが整備され、住宅地や商業地として発展が見込まれる
B. 市街化調整区域
市街化調整区域は、原則として市街地化を抑制し、新たな建築を制限するエリアです。
- 市街地化を抑制することを目的としたエリア
- 原則として住宅や建物の新築が認められない
- 自然環境が多く、都市化を防ぐための措置がとられている
C.非線引き区域
非線引き区域とは、都市計画区域内で市街化区域と市街化調整区域に区分されていない区域のことです。
- 市街化区域・市街化調整区域のどちらにも該当しない地域
- 農地や山林が広がることが多い
- 建築制限は比較的緩やかだが、自治体による個別のルールも存在
都市計画区域内では、これらの区分によって土地利用の自由度やインフラ整備状況も大きく変わってくることになります。
◎都市計画区域外とは?
上記3つのどれにも属さない区域を都市計画区域外と言います。
- 都市計画法による市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域のいずれにも属さないエリア
- 主に人口が少ない地域や山間部、農村部に多い
- 都市計画による土地利用の制限がない
次の章では、これらの区域について、さらに詳しく見ていきましょう。
市街化区域とは?特徴と家を建てる際のメリット・デメリット

市街化区域は、すでに市街地が形成されているか、今後市街化を進める地域です。利便性が高く、住宅を建てやすい一方で、土地価格が高いなどの特徴があります。詳細を詳しく見ていきましょう。
市街化区域の特徴
市街化区域とは、都市計画法に基づいて、すでに市街地として発展しているか、今後10年以内に計画的に市街地として整備する予定の地域を指します。このエリアでは、主に住宅や商業施設、公共施設の建設を進めることを目的としており、インフラも整えられています。
各地の自治体は市街化区域について、それぞれの都市計画を作成し、土地の使い方に関するルール(用途地域)を決めています。住宅だけでなく、商業施設や工場なども建てることが可能ですが、用途地域が指定する条件に従って、建物の種類や高さ、敷地面積に制限が設けられています。
このような区域は、生活環境が整いやすく、暮らしの利便性が高いといった利点がありますが、その一方で土地の価格が高くなることや、建物を建てる際の基準が厳しいといった特徴も持っています。
市街化区域に家を建てる際のメリット
- インフラが整備されている
- 水道・ガス・電気・下水道などのライフラインが整っているため、すぐに快適な生活が始められる
- 道路や公共交通機関(バス・電車)も整備されていることが多く、通勤・通学が便利
- 建築の自由度が高い
- 住宅はもちろん、アパートや店舗付き住宅なども建築可能
- 用途地域ごとにルールはあるが、基本的に家を建てるための許可手続きがスムーズに進む
- 生活利便性が高い
- 商業施設、病院、学校、役所などが近くにあり、生活に必要なサービスを受けやすい環境が整っている
- 将来的な資産価値が安定しやすく、売却や賃貸に出しやすい傾向がある
市街化区域に家を建てる際のデメリット
- 土地の価格が高い
- 市街化を優先するエリアのため、土地の需要が高く、価格も上昇しやすい
- 住宅ローンの借入額が増え、総費用がかさむ可能性がある
- 建築基準が厳しい
- 用途地域により建てられる建物の種類や高さ、敷地面積に制限がある
- 防火地域や準防火地域の場合、耐火構造にする必要があり、建築コストが増えることも
- 周囲の環境変化
- 市街化が進むと、周囲に新しい建物が増え、騒音や交通量の増加が懸念される
- 住宅街でも商業施設ができる可能性があり、環境が大きく変わることがある
市街化区域に建てられる家の種類
市街化区域では、以下のようなさまざまな種類の住宅を建てることができます。具体的には、該当する用途地域によって制限がありますが、基本的に以下の建物は許可されることが多いです。
- 一般的な住宅
- 共同住宅(アパート・マンションなど)
- 二世帯住宅
- 店舗併用住宅
- 賃貸住宅
- 長屋住宅
これらの建物は、用途地域によっては建てられない場合もあるため、事前に自治体の都市計画課などで確認することをおすすめします。
市街化区域は便利で住みやすい反面、土地代や建築コストが高くなることが特徴です。 将来の資産価値を重視したい人には向いていますが、コストを抑えたい場合は注意が必要です。
市街化調整区域とは?基本的には家が建てられないエリア

市街化調整区域とは、市街化区域とは対象的なエリアとなります。以下に特徴を見ていきましょう。
市街化調整区域の特徴
市街化調整区域は、市街化を抑制(=都市化を進めない)することを目的とした地域で、都市計画法によって定められています。このエリアでは、農地や森林、自然環境の保護に力を入れており、無秩序な開発を防ぐために、建物を建てることに厳しい制限があります。
以下に市街化調整区域の主な特徴について詳しく説明します。
建物の建築が原則禁止
- 市街化を抑制するため、新たな住宅や商業施設の建築は原則として認められていません。
- ただし、一定の条件を満たせば建築許可が下りる場合があります(例:既存の住宅の建て替え、農家の住宅、公益性のある施設など)。
自然環境や農地が多い
- 農業の推進と自然を守ることを目的として、このエリアには田んぼや畑、山林、緑地が多く存在し、都市化した開発は抑えられています。
- 静かで自然に囲まれた環境を求める人には魅力的な場所ですが、地域によってはインフラがあまり整っていないこともあります。
インフラ整備が不十分
- 市街化を進める区域ではないため、水道・下水道・ガス・公共交通などのインフラ整備が不十分なことが多いです。
- 電車の駅や商業施設が遠く、車がないと生活が難しい場合もあります。
土地価格が安い
- 市街化を制限されているため、需要が少なく土地の価格は市街化区域に比べて安いことが一般的です。
- ただし、建築許可が必要で手続きが複雑なため、土地の購入や活用には注意が必要です。
市街化調整区域に建てられる家の種類
市街化調整区域内で許可される住宅の建設については、基本的に都市計画法で厳しい制限が設けられています。しかし、特定の条件を満たした場合に限り、許可を得て家を建てることが可能です。以下に建設が認められる住宅の主な種類をご紹介します。
- 既存宅地に建て替える住宅(昭和45年11月23日以前から住宅があった土地での再建築)
- 自己用住宅(その土地で農業や林業を営む人が建てる自宅)
- 分家住宅(農家の子どもが親の土地を利用して建てる住宅)
- 特定の公益性を持つ住宅(介護施設や医療従事者向けの住宅など、地域の公共利益に資する場合)
- 既存集落区域内の住宅(自治体が指定した範囲内で認められる住宅)
- 農家住宅(農地を維持・管理し、農業を営むために必要な住宅)
- 移転を伴う住宅(災害や公共事業による移転が必要な場合に建てる住宅)
市街化調整区域は、自然や農地を守るために開発が制限されている地域で、自由に家を建てることはできません。
建築には厳しい条件と許可が必要ですが、土地価格が安く自然環境が豊かなことが魅力です。
もし市街化調整区域に家を建てたい場合は、自治体への事前相談が必須です。
非線引き区域とは?特徴や建てられる家の種類

非線引き区域とは、市街化区域・市街化調整区域のように明確な区分(線引き)が行われていない都市計画区域のことを指します。地方都市や人口の少ない地域で見られ、都市計画法に基づき都市の発展を厳密に制御していないエリアです。以下にその特徴をわかりやすく説明します。
非線引き区域の特徴
非線引き区域は、市街化を促進する「市街化区域」と、市街化を抑制する「市街化調整区域」のいずれにも該当しない区域で、都市計画区域の一部に含まれます。市街化を進めるかどうかが明確に定められていないため、都市計画法による規制が比較的緩やかなことが特徴です。
市街化の制限が緩やか
- 市街化を推進する計画も、抑制する計画もない区域です。
- 建物の建築に対する制限が市街化調整区域よりも緩く、住宅や商業施設を建てることが比較的容易です。
建築許可が不要な場合が多い
- 原則として、住宅を建てる場合に個別の建築許可は不要です。
- ただし、用途地域が指定されている場合は、そのルールに従う必要があります。
インフラ整備は地域による
- 市街化を計画的に進めていないため、インフラ整備状況は地域ごとに差があります。
土地価格が比較的安い
- 市街化区域ほどの需要がなく、土地の価格は比較的安いことが多いです。
- ただし、交通アクセスやインフラ状況によっては将来的な資産価値に注意が必要です。
自治体ごとのルールがある
- 非線引き区域では都市計画の制約が緩やかですが、自治体ごとに独自の規制を設けている場合があります。
- 建ぺい率・容積率(敷地面積に対する建物の大きさの制限)
- 高さ制限(建物の高さに関する規制)
- 環境保護(自然環境を守るための制限) など
非線引き区域に建てられる家の種類
非線引き区域に建てられる家の種類は、都市計画法による厳しい制限がなく、比較的自由に建築が可能です。ただし、建築基準法は適用されるため、最低限の安全基準を満たす必要があります。以下に、建てられる主な家の種類をまとめます。
- 一般的な住宅
- 別荘・セカンドハウス
- 店舗併用住宅
- 賃貸住宅
- 農家住宅
- シェアハウス・ゲストハウス
- 工房・アトリエ併設住宅
- 移動可能な住宅(トレーラーハウス、タイニーハウスなど)
非線引き区域は、市街化を進める区域でも抑制する区域でもない中間的なエリアで、建築制限が比較的少ないのが特徴です。建築許可が不要な場合が多く、住宅を建てる自由度が高いが、インフラ整備には地域差があります。土地価格は市街化区域より安価である一方、自治体ごとのルールを事前に確認する必要があります。
もし非線引き区域に家を建てる予定がある場合は、自治体の都市計画課に確認すると安心です。
都市計画区域外の特徴や家を建てる際のメリット・デメリット

都市計画区域外とは、都市計画法による市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域のいずれにも属さないエリアを指します。主に人口が少ない地域や山間部、農村部に多く、都市計画による土地利用の制限がないのが特徴です。以下に、都市計画区域外の主な特徴を詳しく解説します。
都市計画区域外の特徴
都市計画区域外とは、都市計画法による規制が適用されないエリアです。建築に関する制約が少なく、自由に住宅や店舗を建てることができるのが大きな特徴です。市街化区域や市街化調整区域のように用途地域が指定されていないため、建ぺい率や容積率、高さ制限といった都市計画に基づく規制を受けません。ただし、建築基準法は適用されるため、建物の安全性や最低限の基準は守る必要があります。
都市計画区域外に家を建てる際のメリット
- 建築の自由度が高い
- 都市計画による用途地域の制限がないため、自由に住宅や店舗を建てることが可能。
- 建物の高さ制限や建ぺい率などの都市計画法上の規制を受けにくい。
- 土地の価格が安い
- 市街化区域に比べて土地価格が非常に安く、広い土地を確保しやすい。
- 固定資産税も安く抑えられることが多い。
- 自然豊かで静かな環境
- 田舎暮らしやスローライフを楽しみたい人に適した環境。
- 周囲に建物が少なく、プライバシーを確保しやすい。
- 特殊な用途の建物も可能
- 工房・アトリエ・民泊施設など、都市部では難しい用途の建物も建築できる。
- ペットの多頭飼いや家庭菜園、農業なども楽しみやすい。
都市計画区域外に家を立てる際のデメリット
- インフラが未整備
- 上下水道・ガス・道路などが整っていない場合が多く、個別に対応が必要。
- 光回線が未対応の地域もあり、インターネット環境の整備に手間がかかることも。
- 交通の便が悪い
- 公共交通機関がない、または本数が極端に少なく、車が必須の生活になる。
- 雪が多い地域では除雪が行き届かないなど、生活が困難になることもある。
- 災害リスクと対応の遅れ
- 土砂崩れ・浸水・孤立などの自然災害リスクが高い場所もある。
- 災害時の救援や復旧が遅れる可能性があり、個別に対策が必要。
- 資産価値が低く、売却が困難
- 需要が少ないため、将来的に売却したり貸したりすることが難しい。
- 市街地から離れていると、買い手がつかないリスクもある。
- 自治体の独自ルールに注意
- 農地法により農地を宅地に転用する場合は許可が必要。
- 自治体によっては景観保護条例や環境保護に関する規制が存在する。
都市計画区域外に建てられる家の種類
都市計画区域外に建てられる家の種類は、都市計画法による用途地域の制限を受けないため、幅広い建物を建築できます。ただし、建築基準法や農地法、自治体の条例には従う必要があります。以下に主な家の種類をまとめます。
- 一般的な住宅
- 別荘・セカンドハウス
- 長屋住宅
- 店舗併用住宅
- 農家住宅
- シェアハウス・ゲストハウス
- 工房・アトリエ併設住宅
- 移動可能な家(トレーラーハウス・タイニーハウスなど)
自由度が高い地域ですが、自治体によっては独自のルールがあるため、事前に役所で確認することが大切です。
都市計画区域外のエリアは、建物を建てる上での自由度が高く、土地の価格も比較的安いため、自由なライフスタイルを実現しやすい場所です。しかし、一方でインフラ整備が不十分だったり、交通の便が悪かったり、資産価値に関する課題があることも事実です。
自然が豊かで都市の規制に縛られない生活を求める方には魅力的な選択肢となりますが、生活の便利さや将来的に売却を考える際には慎重な判断が求められます。
家を建てる場合は、自治体への事前確認を忘れずに行いましょう。
まとめ:区域ごとの特徴を理解し、自分に合った土地選びを!
この記事では、「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」「都市計画区域外」の違いと、それぞれに建てられる家の種類について解説しました。
- 市街化区域は、都市として発展を促進する地域で、住宅や商業施設など多様な建物の建設が可能です。利便性が高い反面、土地価格が高く建築基準も厳しいという特徴があります。
- 市街化調整区域は、市街化を抑制する地域で、原則として新たな建物の建設が制限されています。自然環境が豊かで土地価格が安い一方、建設には特別な許可が必要で、インフラが十分でない場合もあります。
- 非線引き区域は、市街化を進めるか抑制するかが明確に定められていない地域で、比較的自由に住宅を建てることができます。ただし、インフラ整備状況や自治体ごとのルールには注意が必要です。
- 都市計画区域外は、都市計画の対象外であり、建築に対する制限が少なく、自由度が高い地域です。しかし、インフラ整備が十分でない場合が多く、将来的な開発計画がないため、生活利便性に影響を与えることもあります。
土地選びでは、これらの区域の違いを理解し、自分のライフスタイルや将来設計に合ったエリアを選ぶことが大切になってきます。事前に自治体の都市計画課で最新情報を確認し、理想の暮らしに適した土地を見つけてくださいね。
(執筆者:yuffy)