子育て世帯にとって、将来の学費は大きな悩みの種です。
筆者の家庭も未就学児が2人おり、これからどれだけの費用がかかるのかを夫婦でよく話し合い、貯蓄や投資の方法について考えています。そんな中、子育て世帯の家計を支えるため、さまざまな制度が新たに導入されたり、拡充されたりしています。今回は、児童手当や学費無償化などの制度について、わかりやすく解説します。
2024年12月、3人目に児童手当増額
2024年12月支給分から、児童手当制度が以下のように改正されます。
1.支給対象年齢の拡大…これまでは中学生までだったのが、高校3年生まで延長。
2.所得制限の撤廃…これまでの所得制限がなくなり、所得に関わらず全ての対象世帯に支給開始
3.第3子以降の手当増額…第3子以降の児童手当が月額15,000円から30,000円に増額
4.多子世帯の対象年齢拡大…第3子以降の算定に含める対象年齢が18歳~22歳まで拡大
5.支給回数の変更…年3回の支給から、年6回、偶数月の支給に変更
また、手当の月額は
・3歳未満:15,000円
・3歳~小学校終了前
・第1子、第2子:10,000円
・第3子以降:30,000円
・中学生:10,000円
となっています。
高等学校無償化
正式には、「高等学校等就学支援金制度」と呼ばれるこの制度は、一定の要件を満たす家庭の高校生等に対して授業料を給付する国の助成制度です。教育の機会均等を実現し、家庭の教育費負担を軽減することを目的としています。
支給額は、公立高校で年間11万8,800円、私立高校で年間最大39万6,000円が支給されます。
ただし、この制度には所得制限があり、年収590万円未満の世帯は公立・私立ともに上限額まで支給されますが、年収590万円以上910万円未満の世帯は年間11万8,800円を支給、年収910万円を超える世帯は支給なしとなっています。
【例外】東京都は所得制限を撤廃、大阪府も段階的に撤廃
そんな中、東京都においては2024年度から高校授業料の無償化制度が大幅に拡充されました。具体的には以下の通りです。
1.所得制限の撤廃…世帯年収に関わらず、全ての対象世帯に授業料支援が適用
2.都立高校の支給額…年間11万8,800円
3.私立高校の支給額…年間48万4,000円
また、大阪府においても段階的に完全無償化を導入しています。2024年度は高校3年生、2025年度は高校2年生まで拡大、2026年度には全学年で完全無償化になる予定です。
【私立中学】東京都は助成費制度が
東京都は、私立中学校学費助成制度があり、年10万円助成金が出ます。2024年からは所得制限も撤廃され、所得に関わらずすべての対象世帯が受給可能になりました。
類似の制度が神奈川県、茨城県、栃木県などに存在しますが、所得制限があるので確認が必要です。
【2025年】多子世帯(3人以上)大学無償化
2025年より、3人以上の多子世帯が大学無償化になります。
これまでは、世帯年収が380万円までの家庭が入学金、授業料免除されるのと、給付型奨学金を受けられるという制度がありました。2024年には世帯年収が600万円までの家庭に拡大されましたが、2025年度からは3人以上の同時に扶養される子どもがいる世帯が、大学無償化適用となります。
注意!例外もあり
3人以上同時に扶養される子どもがいる家庭に適用となる制度ですので、例外もあります。
例えば、
・大学生の第1子が卒業して社会人に→第1子が扶養を外れるので対象外
・大学生の第1子がアルバイトで103万円以上稼いでしまう→第1子が扶養を外れるので対象外
・第1子が大学生だが、第2子が高卒で就職し社会人に→第2子が扶養を外れるので対象外
・子どもは3人だが、両親が離婚して父と母に親権が分かれる→世帯が2つに分かれるので対象外
また、
・第1子が大学院に進学、第2子が大学生の場合→第1子が扶養のままなので、第2子の無償化は継続
・第1子が大学留年、第2子は大学生の場合→第2子のみ無償化継続
・第1子が大学を卒業したが働かず扶養のまま、第2子が大学生の場合→第2子の無償化継続
というように、同時に3人扶養されていることがポイントとなります。
まとめ
児童手当や学費無償化などの制度について、わかりやすくまとめました。
東京都では、高校授業料の無償化や私立中学校の助成金制度において、所得制限の撤廃が進んでおり、子育て支援が一層強化されている印象です。所得制限があると不公平感が生まれがちなので、撤廃は子育て世帯にとって大変歓迎されるものです。こうした支援制度を最大限に活用し、子どもたちの未来に役立てていきたいですね。
※上記の内容は、令和6年(2024年)11月現在の情報です。最新の情報や、詳細は各自治体のHPをご確認ください。
(執筆者:AKKA)